2005年10月アーカイブ

教員エッセイ:あなたはどちらのタイプ?

アルコール依存症から立ち直るためには、人との関係、そして自分との関係を回復することが重要となります。

 「人間は社会的な動物である」といわれていますが、このことは社会の中で、他者との関係を保ちながら生きていることを意味します。

 ですから、自分や自分の周囲にいる人たちとどのように関わっているかによって、その人の生き方が方向づけられるといっても過言ではありません。

 このような、自分と他人との人間関係についての態度を精神医学者のエリック・バーンは4つに分類して、それを「OK牧場」と名づけて説明しています。 

 「OK牧場」の「OK」とは「安心できる」「価値がある」「うまくいく」という状態を意味しています。 

 その1つは「私はOKでない。他人はOKである」という態度です。これは、自信がなく劣等感が強く、何事にも積極的になれないタイプです。

 2つ目は「私はOKでない。他人もOKでない」という状態です。すべてのことに否定的で他人との関係を拒絶さえするような、肯定的な態度を持ち得ないタイプです。

 3つ目は「私はOK。他人はOKでない」という状態です。自分に甘く、他人に厳しい、いわゆる自己愛と排他主義的な態度です。

 そして最後の4つ目が「私はOK。他人もOK」という自分にも他人にも、ともに前向き、肯定的な態度です。

 アルコール依存症者に多い態度は「自他ともにOKでない」という2番目の態度です。「断酒できない自分が悪い、治してくれない医者や家族も悪い、行きづらい社会が悪い」とすべてのことに否定的・拒否的な態度をとり、結果として孤立化し、閉鎖的になってしまうのです。

 例え、治療によって体は回復しても、このような態度が回復することはなかなか難しい病気です。

 アルコール依存症ばかりではありません。私たちも日頃、人間関係で悩んだり、腹を立てたり、いろいろ他人の言動に振り廻されたり、 巻き込まれたりすることが多いものです。自分のことも他人のこともOKと認められない自分に気づかされることが少なくありません。きっと自分のことも他人のこともOKと認めることができると、これまでとらわれていた心が開放され気持ちがとても楽になることでしょう。

 さて、あなたはどちらのタイプでしょうか。

井上 秀之

 平成16年12月10日に「発達障害者支援法」が公布され、平成17年4月1日から施行されることになりました。この法律の施行に伴って、教育の分野において留意すべき事項については、文部科学省から都道府県知事および都道府県教育委員会等に対して平成17年4月1日付の「発達障害のある児童生徒等への支援について(通知)」をもって、域内の区市町村教育委員会や所管の学校への周知に努めるようにとの要請がありました。そこで、これらを一読してみた印象について、次に二つの観点から述べることにします。

 その一つは、発達障害の定義の曖昧さです。法律等の規定を要約すれば、発達障害とは、脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するもののうち、「自閉症、アスペルガー症候群、その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、言語の障害、協調運動の障害、その他の心理的発達の障害並びに行動及び情緒の障害(具体的な障害名はICD-10に記載されている)」を指すことになります。このあまりにも広範な発達障害の定義が将来、小・中学校の通常の学級に在籍する学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害および高機能自閉症等(以下「LD等」という。)の子どもに対する教育的支援体制を整備していこうとするときに、足枷になりはしないか不安です。

 そのもう一つは、文部科学省が平成19年度までを目処に、すべての通常の学級に在籍するLD等の子どもに対する適切な教育的支援を行うための体制整備を目指す、各都道府県等への多岐にわたる委嘱事業の早急さです。都道府県等の教育委員会における「専門家チーム」の設置や「巡回相談」の実施、小・中学校における「校内委員会」の設置や「特別支援教育コーディネーター」の指名、および、小・中学校における「個別の教育支援計画」等の作成は、一朝一夕に成し遂げられるものではありません。というのは、たとえば、「校内委員会」の設置や「特別支援教育コーディネーター」の指名の前提としては「教員の専門性」の向上が不可欠であり、「個別の教育支援計画」の作成の基盤としては「医療、保健、福祉、労働等の関係部局とのネットワーク」の構築が不可欠であるからです。

 「発達障害者支援法」の公布は、発達障害者にとって確かに朗報ではあります。しかし、それが発達障害者の自立や社会参加に寄与するようになるまでには、5年程度を一周期とする施行期間を幾重にも積み重ねて、その成果について検証していく必要があります。LD等の子どもに対する適切な教育的支援を行うための体制整備についても、同様のことがいえます。しっかりとした成果を望むなら、一見迂遠でも着実な方法をとった方がよいと思います。「急がば回れ」の精神が大切です。

〔出典〕
川村秀忠、巻頭随筆「急がば回れ」:落ち着きのない子の教育的支援体制の整備、教育と医学、2005年8月号、一部修正

川村 秀忠

教員エッセイ:福祉に笑いを

 「笑う門には福来る」ということわざがあるように、笑うといいことが沢山あります。

 私たちが普段みかける微笑みは、見る人の心を和らげ、その場の雰囲気を明るく変える立派な効果をもたらします。また、抱腹絶倒する大笑いは、やりがいをもたらしながら、生きがいを引き出すのに優れた効果を発揮するといわれています。

 それだけではありません。「一笑一少」という言葉があるように、一回笑うと若返る老化防止の効果もあります。それと同時に、笑いは病気の治療と予防にも抜群の効果があるようです。

 また、笑いの効果に対しては科学的な根拠があります。それは臍下丹田(下丹田)の機能を強化する効果であります。快く笑うと、下丹田が活発に動いて心身に良い効果をもたらすという機能です。下丹田は、西洋医学においては自律神経の中枢であり、東洋医学における気の理論では、督脈(下丹田から脊髄を上って舌の先端に至るまでの経絡)と任脈(舌の先端から中丹田を下って下丹田に至るまでの経絡)が合流する生命の源であります。

 笑いの効果は、社会福祉の臨床分野においても、多く期待されているところであります。特に、自分の家族と離れ、福祉施設で孤独な日々を送っている高齢者や障害者たちは、元気をなくしがちであり、生きがいさえ失ってしまっている場合が多いです。彼らに元気を取り戻させ、生きがいを持たせるのに笑い以上の良い薬があるでしょうか。おそらくないでしょう。

 思いやりがあり、心優しき人はよく笑うといわれています。忘れがちな思いやりと優しさを取り戻して、皆様、一緒に「破顔一笑」してみましょう。

李 仁之  

教員エッセイ:日々、これ環境

 東日本国際大学に着任してから早いもので4年半になります。前任校の福島高専で、 環境科学教育研究センター設立時から35年にわたり、いわき地域の自冶体や企業、住民とのお付き合いを経験して「日々、これ環境」といわきの環境をテーマに仕事をし てきました。

 東日本国際大学福祉環境学部の創設を機に経済学部から福祉環境学部に移り、環境政策や環境経済、さらには福祉環境などに仕事の関係からも興味をもち、学生諸君と勉強しています。

 今、考えますと31歳でいわき市に着任以来、40年間地域の環境関連調査や研究に従事してきたことになります。

 その主な内容は「米のカドミウム汚染」、「工場からのSOX拡散解析」、「河川の水銀汚染」、「小名浜港の水質汚濁解析」、「小名浜地区の炭素系粉塵拡散調査」、「天然記念物のうなぎ生息地「賢沼」の水環境調査」など多彩なテーマです。

 これらのテーマは地域住民や企業、地方自治体からの要望も強く、多方面の方々の協力とご援助も受やすく、さらには多くの卒業研究生の努力のもとに実施できたと感謝しています。

 人間とは、なかなか過去から逃げ出すことができないもので、いまだに「日々、これ環境」で過ごしています。

 年齢とともに、脳と身体の動きの鈍さを自覚しますが、地域の環境団体にも参加し続けています。

 創立以来15年以上となる「いわき地域環境科学会」はホームページも立ち上げ、年間活動計画の下、会員150名で行事を行っています。(URL = http://www6.ocn.ne.jp/~essid/

 環境省事業の一つでもある「こどもエコクラブ」応援団員にも登録しています。(URL = http://www.env.go.jp/kids/ecoclub/

 また、環境省認可の環境カウンセラーを1996年に取り、福島県のカウンセラー10人ほどで福島環境カウンセラー協会を設立し、今年はいわき市の補助金をえて1年間事務所を産業会館に開きました。カウンセラーは市民部門と事業部門にわかれ、市民部門は学習、教育、イベントなどに協力し、事業部門はおもに事業所の環境管理に協力します。

 今年の廃棄物学会の第16回年会は仙台で開催されます。学会の福島県幹事として参加しますが、市民参加型の学会ですので、多数の参加を期待しています。(URL=http://www.jswme.gr.jp/

 今日9月29日は、澄みきった秋空が窓いっぱいに満ち溢れています。木々の梢にも淡い色付きが観られます。自然環境は私たちの生活や精神活動のみなもとです。ときには自然の中で、ゆっくりと豊かに深呼吸をするように心がけたいものです。 

                                          
伊藤 宏