2007年2月アーカイブ

教員エッセイ:夜の駅前で思うこと

 夜十時過ぎにいわき駅前に降り立つことがある。その駅前ですぐに目にとまるのが、駅の真ん前にある、消費者金融会社の看板をいくつも掲げたのっぽビルである。駅前の交番のすぐ横にも、その斜め前にも、テレビコマーシャルでおなじみの社名の看板がかかったビルがある。いわゆるサラ金ビル、消費者金融の支店や自動契約機がテナントとして集中している雑居ビルである。特別の工夫がされているのか、これらの会社の看板は、暗い夜の駅前でもとりわけ目立つ。

 特急列車の発着する主要駅の真ん前といえば、地方都市でも「一等地」のはずである。その「一等地」に消費者金融の看板を掲げたビルがいくつもあるのはなぜだろうか。地域経済の低迷、郊外大型店舗の展開などにより、地方都市の「一等地」も不振を余儀なくされ、そこにある貸ビルはテナント集めに苦労していると聞く。このような地方都市の中心地区の「空洞化」の一部を埋め合わせてくれるのがサラ金やクレジットの消費者金融会社なのであろう。貸ビルの貸主にとって、これらの会社はビル賃貸料収入を確実に見込める優良な賃借人にちがいない。

 しかし、「一等地」であるはずの駅前で消費者金融会社が「繁盛」するということは、それだけサラ金やクレジットに頼る人々、頼らざるをえない人々がこの地域で暮らしているということでもあろう。市中銀行は無担保無保証での借入を認めないが、消費者金融会社は容易に貸し付けてくれる。地域住民には資金需要が生じたときに手軽に借入ができる金融機関は便利で有難い。とはいえ、借手の返済能力を超えて貸し付けるこの手軽さが問題なのである。しかも、無担保無保証であるだけに高金利である。様々な理由で資金需要が生じた借手は当初は適法なサラ金やクレジットから借り入れ、貸手側も手軽に貸し付ける。しかし、高金利の利息返済が滞ると借入金は雪だるま式に増えていく。やがて返済のために別のサラ金から借入を繰り返し、多重債務者となる。ついには違法なヤミ金融に手を出し、その暴力的な取り立てに怯える・・・。消費者金融の利用者は、現在、全国で1400万人、うち借入件数が5件以上の債務者が230万人いるといわれる。これら5件以上の債務者1人当たりの借入金合計は230万円とのこと。多重債務・ヤミ金融問題の当事者がサラ金・クレジットを利用したきっかけは、中高年では生活苦や経営難、若者では遊興費が多いとされているが、全体としては、低所得者が大部分を占める。そして、当初の借入理由がどうであれ、多重債務・ヤミ金融問題に直面するようになる経路はほぼ同じである。

 昨年12月、サラ金・クレジットの高金利に端を発するこれらの問題に対処するための法律「貸金業の規制に関する法律等の一部改正法」が国会で全会一致により成立した。3年の激変緩和措置があるものの、過剰貸付の禁止(総量規制)、グレーゾーン金利の廃止等が決まった。同時に、多重債務者対策としてのカウンセリング体制の充実、公的セーフティネットの拡充、金融経済教育の強化、ヤミ金融取締強化などの取り組みも始まった。多くの関係者からはまだまだ不十分ではあるが一歩前進と評価されている。駅前にこれだけ多くの消費者金融会社の看板があるからには、いわき市にも多重債務・ヤミ金融問題の当事者が相当数存在するにちがいない。今回の法改正により地域の公的セーフティネットやカウンセリング体制がどのように拡充されていくのか、地域福祉に関心を寄せる者として注視する必要があると思う。いわき駅に夜遅く着いた日、このことをとくに強く思った。


原田 康美

教員エッセイ:性的虐待が子どもに与える影響

 性的虐待は、子どもに長期的かつ深刻な影響を与えることは専門家以外の方でも容易に理解できるであろう。解離性同一障害(多重人格障害)で苦しむ人の多くが、子ども時代に性的虐待を受けていたと指摘する報告もある。性的虐待を受けた子どもたちが成人期に達して、境界性人格障害やうつ病、摂食障害に罹患することが少なくないとも言われている。また、薬物依存やアルコールの乱用、自殺、レイプなど再被害に遭う可能性が高いと言われている。

 性的虐待は、妊娠や性病などの危険性があるが、多くの場合は子ども自身の身体を直接傷つけるものではない。しかし、前述の影響の深刻さは、性的虐待が子ども自身のアイデンティティーを損なうものであることがわかる。

 なぜ性的虐待がこれほどまでに長期的な影響を子どもに与えるのであろうか。

 ある研究者は、身体的虐待の痛みの多くが一過性で接触も瞬間的であるのに対して、性的虐待は時間も長く、皮膚の接触や体臭など五感に及ぶ影響が及ぶためであると指摘している。また、絶対にあってはならないと思われている親子の性行為に被害者であったとしても加わったという自責の念や被害を受けた子ども自身に苦痛だけでなく性的な反応をしてしまうことがあることから自分自身を追い詰めるからと指摘する声もある。

 また、家族の関係性を指摘する研究者もいる。性的虐待は、母親が子どもの味方に付いてくれればよいが、娘が誘惑をして自分の夫を奪ったと母親が子どもを非難することで子どもを追い詰めてしまうというものである。

 いずれの説も否定できない性的虐待の深刻な一面を指摘しているが、筆者はこれに加えて思春期特有の影響があるのではないかとみている。

 虐待による影響は、一般的に虐待を受ける年齢が低く、虐待を受けた期間が長いほど影響が大きいと言われている。この説では、年齢が高くなるに従って虐待を受ける子どもが増加する性的虐待についての説明が困難になることから、前述のような説明が必要となってくる。

 思春期は、子どもが大人へと成長する転換期にあたり身体も心も大きく変化する時期である。発達の質的転換期は、乳児期から幼児期への転換期など子どもにとっては大きな階段を一段登るほどの質的な変化をもたらすが、それだからこそ養育環境など外部の影響を受けやすい時期でもある。

 思春期という精神的にも揺れ動きやすい時期に受ける虐待であるからこそ、子どもたちは親から受ける性的虐待に苦しみ続ける可能性があるまではないかと考えるが実証的研究はこれからである。

野津 牧

教員エッセイ:雑感「おままごと」

 皆さん、お元気ですか?巷では早くも花粉症を気にする季節(執筆日:2007.2.7)になりました。

 今となってはだいぶ前のことになりますが、お許しください。NHKのテレビ小説で「天花」というドラマが放映されていたのを覚えておられる方はいらっしゃいますか?確か、理想の保育を目指し、日々成長していく保育士を描いたドラマであったと記憶しております。ウルトラマンシリーズを期待???していた方はごめんなさい(前回ブログ2006.2.8掲載)。

 ある日の「天花」の放送で、最近保育園に通う子どもたちの「ままごと」のことが話題になっていた場面がありました。今のこどもたちの「ままごと」で人気のある役割は「赤ちゃん」だと言っていました。その理由は、「みんなにやってもらえて、自分では何もする必要がなく、楽だから」だそうです。逆に一番人気のないのは「お父さん」役だそうです。また、それに続くワースト2は、「お母さん」役です。その理由は「朝から晩まで働いて忙しくしており、疲れそうだから」だそうです。ドラマの天花先生や主任の珠江先生の時代は、「お母さん」役が人気だったそうです。私、矢野の時代もそうだったろうと思います。ちなみに、サザエさんのアニメのなかでのタラちゃんやリカちゃんたちが行う「ままごと」では夫婦(お父さんとお母さん)役の場面がほとんどであったような気がします。たまに、波平さんやマスオさんが子ども役をやっていましたね(笑)。皆さんの時代はいかがだったでしょうか?

 子どもたちって、大人のことをすごくよく見ているなぁとつくづく思います。前述の「ままごと」のエピソードも子どもたちが大人をよく見ているという証拠となるものでしょう。そういえば、わが娘が、保育園に通っている頃、私や妻が発した言動や態度を実にうまく真似ており、私たち夫婦がハッとさせられたことが何度となくありましたっけ。子どもたちからいろいろと教わることも少なくないことを認識させられました。

 いま子どもたちに関わる問題・事件や事故が多発しております。私たち大人は子どもたちをそれらのことから守らなければなりません。そのためには、私たち大人が日頃から子どもたちに「よい手本」を見せているのかを改めて問い直す機会が必要であると考えます。子どもたちに明るい未来を実感してもらえるように私たち大人が考えていかなければいけませんね。できることから確実にコツコツと...。

 ところで、子どもたちは、前述の「ままごと」のエピソードにあるような楽をしたいと思うほど、何をしてそんなに疲れているのでしょうかねぇ。このことについては、別な機会があれば、そのときにお話したいと思います。まあ、私は何かをするとすぐに疲れてしまいますが...(笑)。おっと、失礼!

 皆さん、くれぐれもお体に気をつけて、お過ごしくださいね。では、また。


矢野明宏

教員エッセイ:不思議な生き物 ~ 細胞性粘菌~

 世の中には不思議な一生(生活史)を送る生物がいる。しかも、それらの生物は往々にして生物学上の難題を解決する研究情報を提供してくれる場合がある。私が30年近く研究材料にしてきた「細胞性粘菌」もそのような生物のひとつである。

 子実体の胞子の発芽によって生じた粘菌アメーバは周囲の細菌を摂食し二分裂によって増殖し続ける(成長期)。周囲に細菌がなくなるとアメーバは増殖を停止し(中間期)、それまで独立して行動していたアメーバはその行動に劇的変化を示すようになり、培地上の諸点に集合して多細胞体様の集合体となる(集合期)。この集合体はやがてナメクジ状の形態(移動体)をとって培地上を移動する(移動体期)。移動体は暫く移動運動をした後、培地上に立ち上がり、最終的には頂端の胞子群と柄と基盤の三つの部分から成る子実体を形成する(子実体形成期)。普通の培養条件ではこの生活環に3~4日を要する。

 原生動物(アメーバ状で食作用)と菌類(胞子・細胞壁を持つ柄細胞)の特徴を併せ持っているため、生物の進化の過程で動物と植物との系統関係を研究する上でも重要な材料である。集合期→移動体期→子実体期と続く一連の細胞集団運動を研究することで、多細胞体の細胞分化・細胞選別過程・形態形成運動に個々の細胞の運動がどの様に関与しているかを探ることが出来る。特に単純な細胞集合体でしかない移動体が光や温度を鋭敏に感知したり、移動中に前部1/3は将来柄になる細胞集団に、後部2/3は将来胞子になる細胞集団にはっきりと分かれる(細胞分化・細胞選別・パターン形成)。

 私たちの体を構成する約60兆個の細胞も、体のどの部分を構成する細胞になるかを間違わずに分化・選別されてヒトのパターンが形成される。このメカニズムは未だに解明されていない。細胞性粘菌がこの単細胞から多細胞へと至るパターン形成の難問を解く鍵を握っている。


北見 正伸

ふくしまジョブフェア2007開催のお知らせ

現3年生対象のセミナー:ふくしまジョブフェア2007が
下記要綱で開催されますのでお知らせいたします。

1.開 催 日 :平成19年2月28日(水) 12:30~16:00
2.開催場所:ビックパレットふくしま(郡山市)
3.参加企業:140社参加予定
4.詳細は福島労働局

開催のご案内

            就職指導・インターンシップ委員会 大川信行 

H18年度卒業研究発表会が開催されました。

1月31日、経済学部の本年度卒業研究発表会が行われました。

これまでの研究成果が発表され、質疑応答など活発な意見交換が行われ充実した発表会となりました。大変興味深い内容のものも沢山ありました。

>>発表テーマ一覧